ミトシロ書房の業務日誌

■出版社に勤めたのち、フリーランスの編集者・ライターとして独立。『入りにくいけど素敵な店』という著書も出しました。レシピ本や街情報誌が得意なのですが、最近は書籍(単行本)を企画から校了まで、出版社の編集者さんとタッグを組んで制作請負などをしています。週刊誌はレシピなどのグラビアページをはじめ、文字みっちりの取材モノにも取り組んでいます。
■WEBメディアの仕事も歓迎します。場合によって写真撮影、取材コーディネート込みでお受けします。
■四柱推命、周易、断易できますので、占いのご用命もどうぞ。

お仕事のご依頼は necocco2010☆gmail.com (☆を @ に変えてください)まで。

2013年1月16日水曜日

ほっこりさせない技術

縁あって、『女性自身』という週刊誌の
編集&執筆を担当させてもらうようになりました。

週刊誌って情報ぎっしりで読み応えがある。
ちょっとエロい記事もあったりして、
手に取るとこっぱずかしいときもある。
「週刊誌の取材なんですが~」と、取材を申し込むと
「オレ、週刊誌に書かれるやばいことしたっけ?」って
たじろぐ人もいたりしておもしろい。
週刊誌=スキャンダルのイメージはありますね。
そして、「すきなものにかこまれて、ていねいに暮らす。」
みたいな、浮世離れしたほっこり感はまるでなくて、
夫の浮気、芸能人スキャンダル、痩せる、血圧、皇室!!! と
まあ、情報満載でなんでもアリ。雑誌の楽しさ感は健在。


▲光文社『女性自身』1/22号 390円(安い!)


さてさて、今回仰せつかったテーマは
「小豆島(しょうどしま)の旅」。
瀬戸内海に浮かぶこの小さな島は、
オリーブ、そうめん、醤油などの特産品で
全国的に知られています。


「瀬戸内海の島・・・気候は温暖、
南国パラダイス!」なんて、勝手に想像して
出かけると(取材は昨年末)・・・

なんと・・・めちゃくちゃ寒い!

島の中央には寒霞渓(かんかけい)という山がそびえ、
そこから「寒霞渓おろし」という冷たい風が
吹きおろしてきます。

同行のカメラマンは、大阪からクルマで
小豆島にかけつけてくれました。

「ヒートテック2枚やでー」(カメラマン)

・・・やられた。わたし、南国想定の服装。


さて、この島の人たちはとってもサービス精神旺盛です。
関西風のユーモアあふれるトークと
田舎らしい人懐っこさのハイブリッドセンス全開で、
話していてなんだか楽しい。

カメラマンと大爆笑した、この島の人との会話です。

【1】
(取材現場に向かうわれわれ、道に迷う)
(運転のカメラマン、住宅街でおろおろする)
(カメラマン、地元のおっちゃんをひきそうになる
 ※安全運転ですが、おっちゃんが
  興味津々で車に近寄ってきたの!)
(おっちゃんこちら、凝視)

カメラマン「ごめんなさい・・・あのー(動揺)」

わたし「〇〇〇に行きたいんですが」

おっちゃん「んあああ・・・」

(われわれ:そんなマニアックなところ知らんやろうな)

おっちゃん「単なる憶測やけどな、~~~を曲がって
 ~~~沿いに行くとあるかもしれん」

>>憶測による道案内。文字にすると
 あまりおもしろくないですが、笑い転げました。
 でも憶測道案内のおかげで、無事に現地に到着。


【2】
(小豆島町役場には「オリーブ課」という
ユニークな部署があって、特産品の
オリーブの宣伝広報、取材対応から
オリーブ農家への支援までを幅広く担当しています)

オリーブ課Sさんの名言集

「小豆島のカラスは黒光りしとる!
オリーブ食べまくりでつやっつやなんやで!」

「小豆島に、タレントのもこ★ちさんが来たんよ。
しっかしオリーブ使いすぎや。
健康にいいとはいえ、アブラや。アカン!」

>>取材当日、地元の公民館で
 小豆島産オイルを使った料理教室が開催されていました。
 取材に同行してくれていたSさん、
 「じゃ、あとの取材はまかせた!」と、消える。
 聞くと、料理教室の試食会でパスタを
 たらふく召し上がったそうで。自由な人だー。


【3】
(2泊3日の取材を終えて、さあ帰ろうって夕。
フェリー乗り場で切符を買ってコーヒー買って
クルマを停めてひと休み)

コンコンコン(クルマの窓ガラスをたたく音)

「切符買うたん?」(フェリー会社の誘導員)

「はい」

「予約しとるん?」

「してないです」

「今日はツアーバスやらたくさんおるから、もう乗られんかもな・・・」

「うそでしょー」

「ほんと。残念やったな」

「きょう帰らんと、あした仕事に行けへん!」 (カメラマン、激怒)

「とりあえず、キャンセル待ちの列に並んで」

 <中略> 

コンコンコン(クルマの窓ガラスをたたく音)

「その切符が役に立つかもしれんな」

>>おっちゃんの機転なのかなんなのか、
 ほんとうにツメツメのギリギリのところで、
 われわれのクルマ1台分のスペースが空けられて、
 無事にフェリー乗船完了!

大阪へ帰るカメラマン。
わたしは愛する東京へ。
新幹線の相生(あいおい)駅でさよならです。

いろんなメに遭って、楽しかった小豆島取材。
へろへろのモーロー状態で相生駅前の純喫茶へ。
ふと気づくと、新幹線の終電すでに終了してる!
とりあえず新大阪駅まで行って宿を取って、
翌日やっと帰れたってワケ!


 ▲相変わらず天然ボケで年上だけどなんかカワイイカメラマン

▲小豆島八十八箇所のひとつ「西の滝」からの夕景

▲出張の楽しみはスナック!
嫌がるカメラマンを連行するのがわたしの楽しみ。
でも小豆島には夜遊びスポットがないので、
地味に部屋で遊んでいました

▲オリーブの実がなる季節にしか食べられない
オリーブの新漬け。年末~年始の一瞬だけ出回ります




(木村悦子)