今日は、か~わいい芸能人の
レシピ撮影で、キッチンスタジオに
一日こもっていました。
足がもつれるほどに疲れたけど
やっぱり楽しかったです。
さて、ずっと書きたかった餃子のお話。
えい出版社 『餃子本』 880円
日本料理、中国料理、イタリアン、フレンチ、
居酒屋、カフェなど、いままで
さまざまなジャンルの飲食店を取材してきましたが
餃子屋さん取材の日々は、本当に楽しき日々でした。
いま思い出しても笑い転げた記憶ばかり。
ああ、ほんとうにいい仕事をしたんだなぁ、と。
なにがよかったかって、それは
餃子屋の店主って・・・おもしろいんです。
<浅草 開口餃子でのお話>
わたし 撮影用の餃子をお願いします。
(10分程度待つ)
店主 はい、できたよ。
わたし まずは食べて。
わたし はい、いただきます。
店主 いいの、気にしないで。また焼くから。
(さらに10分程度待つ)
店主 はい、できたよ。おいしそうに焼けたからもう食べて。
わたし えっ!?
(これを数セット繰り返して、撮影に入れない)
<東銀座 T>
わたし こちらの餃子は本当においしいですね。
店主 ええっ、そんなことないですよ。
バーミヤンの餃子がいちばんですよ。
わたし ええっ!?
<東久留米 ぎょうざやH>
店主の母上 うちの餃子はぽろぽろ食べれちゃうの。
わたし 中のあんが食べやすいということですか?
店主の母上 ぽろぽろ食べれちゃうの。もうね、いくつでもね。
カメラマン (失笑)
わたし ぱくぱくいくつでも食べられるということ?
店主の母上 もうね、ぽろぽろ食べれちゃうの。
(これを数セット繰り返して、
「ぽろぽろ」という語感がおもしろく我々大爆笑)
<学芸大学 D酒楼>
店主 うちは棒餃子が名物なの。発祥の店。
わたし でもこの餃子、棒じゃないですよ!?
店主 「日本揺れすぎでコワイデス」って
餃子名人の中国人がみんな帰国しちゃった。
(いまは普通スタイルの餃子が名物です)
<溜池山王 H>
美人広報 こちらのお部屋からは都心を一望できます。
カメラマン うわーー・・・。すごい絶景。
美人広報 27階ですから。
わたし 東京タワーもスカイツリーも見える!!!
あぁ!! あれなんですか?(ロマネスク様式のステキ建築を指さして)
美人広報 ・・・そうしたホテルです。
(120年続く老舗の広報さんは正しく美しい人でした)
女性編集+女性カメラマン+女性広報で
男まみれの厨房を撮影し、
料理長を女子3人で
「すごいですね! 上手ですね!」と
ちやほやしたところ、料理長はすっかり上機嫌。
取材の終わったわたしたちのもとへ
絶え間なくご自慢の点心をつくり続けてくれました。
一生分、餃子を食べたね。
・・・とまあ、
これ以上にもっといろんな目に遇った日々。
以下後日談。
餃子好きの知人と雑談をしていました。
わたし 餃子屋さんってすごいの。
愉快でおおらかな人が多くて、
毎日笑い転げていたんだよ。
知人 そうなんだ。
わたし 和食でもフレンチでもなく、
餃子というニッチな道を志した時点で
もうすでに変わった人だよね~。
知人 うん、それもあると思う。
でも餃子はすべてを包み込むからね。
わたし ・・・あっ、そういうことか。
知人 餃子はすべてを「包む」から、
餃子って宇宙なの!
餃子ばんざーい。
どってことない店取材だけど、
仕事を知る、人を知る、人生を知ることから
人間が好きになれるので
やっぱりわたしはこの仕事が好きだな。
(木村悦子)