ミトシロ書房の業務日誌

■出版社に勤めたのち、フリーランスの編集者・ライターとして独立。『入りにくいけど素敵な店』という著書も出しました。レシピ本や街情報誌が得意なのですが、最近は書籍(単行本)を企画から校了まで、出版社の編集者さんとタッグを組んで制作請負などをしています。週刊誌はレシピなどのグラビアページをはじめ、文字みっちりの取材モノにも取り組んでいます。
■WEBメディアの仕事も歓迎します。場合によって写真撮影、取材コーディネート込みでお受けします。
■四柱推命、周易、断易できますので、占いのご用命もどうぞ。

お仕事のご依頼は necocco2010☆gmail.com (☆を @ に変えてください)まで。

2012年3月23日金曜日

水族館・その1

働くみなさま、お疲れ様です。

わたしってば取材当日に原稿アップ!
普段は編集者だけども、今日はライター役。
「ほめてほめて!」って思っても
編集さんもう帰ってるし、メールの返信ないし。
勤め人とフリー(わたし)だものね。
さて、23時。
こういう時間になると
ブログを書きたくなるのよね。
誰に頼まれたわけでもない勝手な書き散らし。
今日は、たいへんにタイミングよく
リニューアルオープンの
『サンシャイン水族館』にお呼ばれしました。
お呼ばれっていっても、わたしはお呼びでなく、
くっついていったのです。
以前、水族館ガイド本をつくるときに
たいそうお世話になった飼育員さんが、
サンシャイン水族館にお呼ばれ。
「ご一緒にいかがですか?」といわれ、
コバンザメ。

リニューアルした水族館、
展示スペースが限られているながら、
なかなか工夫をこらした水槽ばかりで
おもしろかったです。
愛用のPOWER SHOT S95
(コンパクトカメラ)もお利口で、
暗い水族館で活躍してくれました。
わたしを呼んでくれた飼育員さん、
ホスト役の飼育員さん。
2人の魚トーク、濃厚すぎだぜ!
漏れ聞いた内容をみなさまにも。

▲最近人気のチンアナゴ。
「みんな同じ方向を向いているのは、
水流にエサを混ぜているから、
水流の吹き出し口に向くんですよ。
下半身を深く沈めるが好きだから、
底砂を一段高くするんですよー」

▲「魚水槽に本物サンゴの展示。
昭和の水族館では、
サンゴは“絵”だったんです。
最近は飼育技術がアップしたので
こういうものが展示できるんです」

▲オタリアとアシカ。
高く造った円形のプールに
泳がせて、客が見上げるスタイル。

▲これがメイン水槽。
オオモノはいませんが、過不足なし。素敵。


ここいらでひとつ、お魚の「変顔」などを。
イカです。

イカといえば、
泳ぐのが下手で、地面を歩く「ミミイカ」が
最高にかわいらしかったです。
初の動画UP!


最後に、飼育員の名言集。

「お魚がおいしそうに見える水槽はいい水槽」

「水槽レイアウトは盆栽だ!」


(木村悦子)

2012年3月11日日曜日

1年

昨年3月上旬、会社へ辞意の表明。
3月11日、会社員編集者として
最後の取材中に地震に遭いました。
3月10日、つくばの中華レストランで
カメラマンと昼食をとっているときに、
地面に台車がついたかのように、
ぬるぬるとゆらめくような
横揺れを感じました。
この日、取材・撮影をしていた
別チームが撮った写真。
ダークグレーの空と、妙な形の雲が写っていて、
結局それは雑誌に掲載したのですが
怖くて見返すことができません。
翌日の3月11日も、つくばの
産業技術研究所(産総研)に向かっていました。
15時の取材アポだったのです。
14時46分は、つくば市の職員を乗せて
クルマで移動中でした。
「もうちょっとで現地!」というときに、
民家のブロック塀が崩れて、
車道側に一気になだれ込んできました。
産総研のハイテクロボットたちは
主電源、二次電源を失い、完全沈黙。
取材対応をしてくれるはずだった
職員とも連絡がつきません。
取材をあきらめ、市内のカフェに避難。
壁全面に巨大モニターを複数台備えた店内で
被災地からの映像が次々に入ってきました。
(スポーツカフェなので、モニターも
むやみにでかくたくさんあって、音も迫力満点・・・)
「何が起こっているのか」を
臨場感たっぷりに知りました。
・・・そんなわたしの話はいいのです。

それから1年後となる2012年3月11日、
追悼式のようすをラジオで聴きました。
わが家にもわが事務所にもテレビ、ありませんから。
特集番組とか記念番組とか、
無難でセンチメンタルな映像や言葉を集めて、
なんになるのさ。
絆とかひとつになろうとかみすずとか、
そんなので人を救えないじゃない。
「あの日から人生観が変わった」とか、
人がたくさん亡くなったのをテレビやラジオ、
新聞で知って変わる人生観ってなんなのさ。
1年経ってまだなんも解決していない。
「現実的に」人を救うのは人であって、
それに気づかない人、
この期に及んで原発を再稼働しようなんて
言ってる人、まじでちょっとどうかしている。

(木村悦子)

2012年3月5日月曜日

やさしいひとたち

市場を取材している。
まだ明けやらぬ早朝のマグロのセリから、
ひと仕事終えた働く男たちのための
食堂がオープンしてクローズするまで、
毎日毎日カメラマンと市場にいる。
撮影していると、
「カメラ向けると、みんなかっこつけて
高値つけてくれるから、いっぱい撮ってって!」

「おれおれ、おれも撮ってって!」

「アイツ写ると売り上げ下がるから!」

「うちの魚はね、カメラ向けると笑うの、ほら」

とか声をかけてくれる。
朗らかなひとたちがいて、なんだか楽しい。

預けた荷物に、差し入れのお菓子が添えられていたり、
取材時間を(早めの方に)勘違いして
おじゃましちゃったのに、
「明日だよね?(爆笑)
コーヒーでも飲んでいきな!」とかみんなやさしい。

「朝、自動販売機の前で
おにぎり食べてたの見たよ。
寒かったでしょ。ホレお茶でも飲んでいきな」
「お疲れ様! はいこれお土産」
(取材後、漬物や豆腐などをもたせてくれる)

マスコミだから優遇されているんじゃなくて、
「寒い中ご苦労様」と、ほんとうに心のこもった
もてなしを受けている日々だ。

7時50分からはじまる花のセリ。
「厳しい寒さのために、
(生育が)あまりよくないものもありますが、
助け合いと思って買ってあげてください」
みたいな前説があって、これにもちょっと感動。

(木村悦子)