ミトシロ書房の業務日誌

■出版社に勤めたのち、フリーランスの編集者・ライターとして独立。『入りにくいけど素敵な店』という著書も出しました。レシピ本や街情報誌が得意なのですが、最近は書籍(単行本)を企画から校了まで、出版社の編集者さんとタッグを組んで制作請負などをしています。週刊誌はレシピなどのグラビアページをはじめ、文字みっちりの取材モノにも取り組んでいます。
■WEBメディアの仕事も歓迎します。場合によって写真撮影、取材コーディネート込みでお受けします。
■四柱推命、周易、断易できますので、占いのご用命もどうぞ。

お仕事のご依頼は necocco2010☆gmail.com (☆を @ に変えてください)まで。

2012年10月16日火曜日

相模国のテレビ菩薩の話

昔むかし、あるところに
腕のいい左官職人の男がおりました。

男は一生懸命働いて、
少子高齢化のご時世にもかかわらず、
6人の子をなしましたとさ。

子が独立してほっとした男は、
仕事を辞めて隠居の身となりました。

いまはその子とその子(孫)が
左官業を継ぎ、3代に渡り、
その確かな技術が次世代へと
継承されることとなりました。

現役時代は、ちゃぶ台をひっくり返すほどの
気性の荒い職人気質だった男ですが、
引退すると、まるで仏像。

一日中テレビの前に座ってぼーーー。

いつしか家族は男のことを
「テレビ菩薩」と呼ぶようになったそうな。

テレビ菩薩(笑)。


きょうは、テレビ菩薩の6番目の子である
カメラマンさんと、きょうはパン屋さんの取材でした☆
某・女性週刊誌のお仕事です~。

パンはいいね。夢がある。
酵母とか発酵とか、菌だよ菌!!!





ところでなんで昔話にはワカモノが出てこなくって、
おじいさん、おばあさんばかりなんだ?

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1358658.html

おや、みんなの味方・知恵袋に
トピックが立っていました~~。ほんとかいな(笑)。


(木村悦子)

2012年10月8日月曜日

魂のかけら?

吉本ばななの『キッチン』が愛読書です、と
堂々と言えないことはわたしの弱点の一つでもある。

「彼女たちは幸せを生きている。
どんなに学んでもその域を出ないように教育されている。
たぶん、あたたかな両親に。
そして本当に楽しいことを、知りはしない。
どちらがいいのかなんて、人は選べない。
その人はその人を生きるようにできている。
幸福とは、自分が実はひとりだということを、
なるべく感じなくていい人生だ。
私も、そういうのいいな、と思う。
エプロンをして花のように笑い、料理を習い、
精いっぱい悩んだり迷ったりしながら恋をして嫁いでゆく。
そういうの、すてきだな、と思う。美しくて優しい。」

「でもあの至福の夏の、あの台所で。
私はヤケドも切り傷も少しも恐くなかったし、
徹夜もつらくなかった。
毎日、朝日が来てまたチャレンジできるのが楽しみでぞくぞくした。
手順を暗記するほど作ったキャロットケーキには
私の魂のかけらが入ってしまったし、
スーパーで見つけた真っ赤なトマトを私は命がけで好きだった。
私はそうして楽しいことを知ってしまい、もう戻れない。
どうしても、自分がいつか死ぬということを感じ続けていたい。
でないと生きている気がしない。
だから、こんな人生になった。
闇の中、切りたった崖っぷちをじりじり歩き、
国道に出てほっと息をつく。
もうたくさんだと思いながら見上げる月明かりの、
心にしみ入るような美しさを、私は知っている。」


3連休。深夜3時半。仕事だよ。
(わたしと同様、働くみなさま、お疲れ様です)
眉間にしわを寄せて原稿を書いていると、
「おおこれが、『魂のかけらが入る』ということか」
と、共感してしまう。徹夜なんてつらくないし、
まだツメの甘い作りかけのページも命がけで好きなんだよね。
そうやって編集者をずっとやってきた。
過去に書いた文章を読むと、
そのときどんな街に住んで、どんな部屋で暮らして
何を思っていたのかとか、ありありと思い浮かぶ。
魂のかけらが「本」として残る仕事の業の深さ。

「虫ケラのように負けまくっても、御飯を作って食べて眠る。
愛する人はみんな死んでいく。
それでも生きてゆかなくてはいけない。」


何度も読みすぎて、わたしの脳内で勝手に
映像化されてしまっているので
映画は観ないルールを作っていたけど『キッチン』観ちゃうから。
カツ丼の話出てこないってほんとう? カツ丼! チャーハン!!

(木村悦子)

2012年10月2日火曜日

デザイナー&助っ人続報

おはようございます・・・・・・(徹夜)。

水族館の本を担当してくれた
デザイナー「夢にアザラシ、イルカ、スナメリが
出てきます。どうにかしてください」

・・・・・・わたしもです。

川沿いの道をドライブしていると、
川を遡上するアザラシ、アシカ、オタリア、ピラルク!
そんな夢を見ます。

助っ人「『懐かしき川よ~♪』って合唱曲いいよね。
なんていうんだっけ、『スナメリ』だっけ?」

※スナメリ

わたし「違う違う! 『モルダウ』でしょ!」

助っ人「あ、そっか。作曲者がスナメリだよね! いい曲~」

わたし「スメタナ!」

※スナメリ


みなさん、ほんとうにお疲れ様でした。


(木村悦子)

2012年10月1日月曜日

引っ越し蕎麦&校了ピザ(あるいは謝辞その2)

校了を終えて、本が出るまでの編集者は、
じつにフヌケ的な顔をしている。
(※校了=本の校正を終えて原稿を
印刷所に渡すためのイベント的な追い込みのこと)
 
会社員時代の校了って、
みんなでがんばる感じがあったなあ。
 「わっしょいわっしょい! 校了だ!」って。
もうね、祭りみたいな感じでね。
編集部でピザを頼んで、
デスクで育てていたバジルをのっけて
みんなで輪になって食べたりと、
ツライながらも楽しいこともあった。
引っ越しには蕎麦がつきものだけど、
校了にはピザがつきものだった。
だから、校了中はピザが食べたくなるのだよ。
あとは、カツ丼。懐かしい。
用賀の『志波田』さん、
「カツ丼、卵ぬき」なんて意味不明な注文
ごめんなさいでした~。 
 
独立してからの校了作業は、基本的にひとりだ。
もくもくと、壁にむかって、ゲラの束とにらめっこ。
これは精神衛生上よろしくなーい。
 
でも今回は、縁あって
たいへん頼もしい助っ人さんを確保!
大活躍してくれました。ありがとうっ!
深夜のピザも食べられて、我らが校了に悔いなし!
 
 
 
(さて、きょうももう夜だね。夜夜夜。
さらに、きょうは嵐の夜。
誰もが帰るべき場所、
いるべき場所にいて
閉じこもっている感じがいい。
では、みなさま、おやすみなさい)
 
 
(木村悦子)